vol.16

2023.03.09

桑原 健一さん【地域おこし協力隊】

料理人の桑原さん。大好きな場所で、大好きな人たちのために腕をふるう日を夢見て。

きっかけは震災ボランティア

料理人を目指して東京の飲食店で働いていた桑原健一さんは、あるニュースにふと目を留めた。熊本地震のボランティアに関する内容で、「ちょうど長期休暇が取れたことだし、家でゴロゴロしているくらいなら」と、一路熊本県へ。阿蘇市に入ってボランティアに携わるなかで、同じく県外から来ていた同年代の仲間と意気投合。ボランティア期間が終わってからも、熊本でよく会うようになった。

そんな交流が2年ほど続いた頃、仲間のひとりが南阿蘇村に移住したというではないか。「遊びに来てみてびっくり。自然が多くて、より近いところにあるように感じられました」。まさか自分が移住するなどとは考えてもみなかった。だが、折に触れ阿蘇の魅力を耳にするうち、次第に心が動かされていく。「友人が阿蘇で会社を立ち上げたりしているのを見て、自分もなにかやってみたいと思ったのが大きいです。面白そうかもって」。地域おこし協力隊の情報を知り、気持ちが固まった。

人も自然も、大好き

「村の人、みんな温かい」。そう言ってくしゃっと笑う桑原さん。近所から分けてもらった野菜の新鮮さにもいたく感動したと話す。「この人が育てた野菜を、どうやっておいしく食べようかって考えるのも楽しい。あたりまえに野菜を買っていた頃より、ありがたいなって実感することが、増えた気がします」と、さすが料理人らしいコメント。そして、おすそ分けをいただけるような思いやりに満ちた関係を築いてきたことがうかがえて、感慨深い。

景色なら、北から望む南外輪山の姿が一番好き。「久木野からの五岳の眺めが定番ですけど、ぼくは南外輪山の優しい雰囲気がいいなって。住んでいるアパートの窓から見えるんですよ。地元の方は見慣れているんでしょうけど、ぼくにとっては毎日新鮮な感動があります」。

任期後の目標は、ローマピッツァの店を開くこと。「日本ではまだ馴染みが薄いんですが、すごくおいしいんです。地元の人に気軽に訪ねてもらえる店にしたいと思っています。みんなから『待ってるぞ』って言われるのがありがたい」。業務時間外では飲食店のアルバイト等をしながら、構想を膨らませている。

【写真CAP】
1・2.観光局では、レンタサイクルやガイド受付業務に携わる。

3・4.ある日の昼食時。普段の食事はもちろん、ほぼ自炊だ。「たとえばもも肉1枚が、調理次第でいろいろな味わいに変わるのが面白い! 目分量で味付けすることが多いんですが、思いがけない仕上がりになったりもして、わくわくします」。主催イベントで料理を提供することもあるそう。

インタビューしてみての感想

地域おこし協力隊ヒトコト録(2023年2月発行)より転載。

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