vol.19

2023.03.11

槌田 晴菜さん【地域おこし協力隊】

一度も来たことがなかった南阿蘇村へ移住。自分にもできることがある。いまが人生で一番幸せ!

自然を身近に感じていたい

実家と職場を往復し、動物看護師として働いて、いただいた給料をキャンプや旅行の費用に充てる。仕事にはやりがいがあったし、暮らしに大きな不満があったわけでもないのだけれど、強いて言えば「田舎で暮らしたい」という漠然とした憧れがあったと、槌田晴菜さんは話す。「自然が好きなので、休みの度に遠出していました。そのために1ヵ月働く、みたいな。とにかく大阪を離れたい気持ちがあったのかも」。

そんな折、熊本県は南阿蘇村の地域おこし協力隊募集の話を耳にする。これをチャンスと、なんと、一度も現地を訪れないまま移住を果たす。「自然豊かなこの景色を眺めるのが好き。最近気づいたんですが、移住してからはあんまり遠出しなくなった。ここにいるだけで楽しいからなのかな」。傍から見れば思いきりのよすぎる選択だったかもしれないけれど、こうして語る槌田さんを前にすれば、それは必然だったのではないかとも思えてくる。

学びと小さな変化

協力隊業務は事務からイベント運営まで多岐にわたり、役場で、農業公社で、畑で、イベント会場で…とてんてこ舞い。はじめのうちは戸惑うことも多かったそうだが、「少しずつ方向性が見えてきた。やることはいっぱいですが、それが楽しい」と、充実感を得ている。「有機とかそうでないとかは抜きにして、自分が農業の面白さに触れさせてもらったように、いろいろな人にまずは『知って』もらいたい」というのが、協力隊として約1年活動してきた槌田さんが抱く思いだ。

移住を経て普段の生活にもちょっとした変化が現れた。「食に対する考え方が変わりました。できるだけ村内や県内の野菜を買うとか。それが、地域の農業を支えることにつながるんだって知ったから」。大好きになった村の景観を共に守る一員として、自分にもできることがあるかもしれない。そんなふうに思えるようになったという。

環境の変化は、人間として成長するきっかけをくれる。新しい景色、知らなかった知識、異なる人間関係。それらを得てどうありたいと望むのか。「いまが一番幸せ」。そう胸を張れるかは、自分次第だ。

【写真CAP】
1.新規就農プロジェクトメンバーと一緒に、ブドウ狩りの現場へ。農作業に触れる機会も多い。

2.農業公社の清掃作業も仕事のひとつ。

3.背丈より大きく育った茅刈りを体験させてもらう。

インタビューしてみての感想

地域おこし協力隊ヒトコト録(2023年2月発行)より転載。

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