vol.17

2023.03.10

野津 周平さん【地域おこし協力隊】

学生時代を過ごした熊本に帰る。そう決めたのは、尊敬する上司の言葉がきっかけだった。人生を、楽しくする。必要なのは、ほんの少しの行動。

新しい知識をゼロから学ぶ

小学校の教室から、子どもたちのはしゃぎ声が聞こえてくる。「先生、これどうやるの?」「音をつけてみたよ」。先生と呼ばれているのは、野津周平さん。「こうしてみたらどう?」「おっ、すごいじゃん!」と、パソコンを覗き込み、笑い合う。野津さんは、地域おこし協力隊として小学校のクラブ活動の講師を引き受けているのだ。

着任時のIT知識はほぼゼロ。それでも挑戦できるところが、協力隊制度の特徴のひとつ。野津さんは着任後からオンラインでプログラミング専門講座を受講。今後は、プログラミング講師としての仕事も請け負う予定だ。

【写真CAP】
1・2.協力隊業務の一環で、久木野小学校のクラブ活動「パソコンクラブ」の講師を務める野津さん。この日はプログラミングでゲームを作る日。ためらいなくパソコンを操作する子どもたちに、「自分のほうが教えてもらうことも多いんですよ」と笑う。

熊本へ"帰る“

大学時代を熊本県で過ごした野津さん。バイクにはまり、仲間とツーリングに出かけたり、沖縄を除く46都道府県を旅したり。「大学生って、一番感受性が豊かな時期。その時期に自我をもって自分の時間を過ごしたのが、熊本なんです」。なにかに付属するものではなく、自分というひとりの人間を意識した。そのとき野津さんは、生まれ直したとも言えるだろう。

就職を機にいったんは地元へ戻るも、「いつかは熊本へ」という気持ちはずっと燻っていた。コロナ禍を受け、これが潮時と退職と移住を決意。決して前向きな気持ちだけでの決断ではなかったが、職場の上司や妻、熊本のバイク仲間たちが背中を押してくれたと話す。

考えすぎないこと

野津さんが密かに大事にしていることがある。「なにかを選ぶときは、保守的じゃないほう」。それを意識づけてくれたのは前職場の上司。「保守的な会社に、斬新なアイデアをぶつけていく人でした。自分の人生、思いっきり楽しく生きようよって教えてくれたんです」。

人生を楽しく。そのために、「まずやってみる。やめてみるでもいい。あんまり難しく考えすぎないことも大切かも」。

執着やこだわり、こうあるべきという固定概念。それらから、少しでも距離を置くと決めた野津さんがいる。行動の先が、いまより少しだけ生きやすい世界へつながっていると信じて。

【写真CAP】
2022年6月、天草トライアスロンに挑戦。リレーの部で総合3位に!

インタビューしてみての感想

地域おこし協力隊ヒトコト録(2023年2月発行)より転載。

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