vol.31

2024.08.07

耘野 雅人さん【地域おこし協力隊】

起業を見据えて地域おこし協力隊に。難しいこともあるけれど、地域に関わる楽しさがあるから頑張れる。

出会いのなかで育んだ、起業への思い

人生において大切なことはさまざまあるけれど、なかでも「誰と出会うか」が与える影響は大きい。その点、耘野雅人さんは恵まれていたと言えるだろう。

中学生のころに釣りを始めたときには、ベテランの釣り人に弟子入り。毎週のように九州の川で釣りに没頭した。合間に師匠が淹れてくれたコーヒーに、後々どっぷりハマることになろうとは、本人も予想だにしないことだった。

就職を機に広島・山口県に移住。化学系の実験職だったこともあり、コーヒーの焙煎や抽出の過程に改めて興味を持つ。趣味と実益を兼ねた「実験」を重ねるうちに、地域で名の知れた店のマスターと知り合って、コーヒーのいろはを教わることに。

「いつも叱られてました(笑)。でもとっても面倒見のいい方で」。常連客との交流から得られるものも多かったと話す。「豆の個性や、焙煎する人の考え方やクセ、さまざまな要素が絡み合う」。その奥深さに魅せられて、いつしか「コーヒーで誰かを笑顔にしたい」と思うようになる。

地域の輪の一員に

地域おこし協力隊になったのは、総務省の制度として起業を後押ししてくれる側面があったから。加えて、「地域になじむステップを踏めるかも」と考えてのこと。さりとて、未経験の仕事を学びつつ起業準備を進めるのは、想像以上に難しい。着任してみて、しみじみ実感しているという。そんな葛藤を抱える耘野さんだが、少しずつ、業務にやりがいを感じられるようになったそうだ。

耘野さんは協力隊業務の一環で、沢津野区の有志団体「早角会」の活動をサポートしている。「深く地域に入り込んで、いろんな話ができるのがうれしい。皆さんの前向きな姿勢に感化されて、自分も皆さんのために何かしたいなって自然に思えるんです」。

ひとまず、一歩前進と言ったところか。最長3年の協力隊任期。長くはないが、決して短くもない。この期間をどう活用し、どう過ごすか。地域おこし協力隊制度の難しさであり、醍醐味でもある。


【写真】
1. 早角会のしめ縄づくりに参加。会のメンバーに教わりながら、藁を綯(な)うという初めての経験。完成したしめ縄は、集落の神社に奉納した。

2.早角会が主催した夏祭りでゲームコーナーを担当。

インタビューしてみての感想

地域おこし協力隊ヒトコト録(2024年3月発行)より転載。

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