vol.21

2023.03.13

小屋迫 瑛さん【地域おこし協力隊】

ひょんなことから農業に抱いた興味。信頼関係やつながりを鍵に、この場所で農家として生きる。

農業って、いいなぁ

「都会より田舎のほうが好き。身体を動かすのも好き。農業、いいなって思って」。小屋迫瑛さんはいつも、シンプルに自分の気持ちを表現する人だ。そして、どちらかと言えば実践派。「独立して自分でやってみたら、どんなふうにできるだろう?」と、着任1年目ながら、気持ちはいつも未来に向かっている。

地元にいた頃、両親の友人の農家の手伝いを通して農業に興味を抱き、独学で知識を身につけた小屋迫さん。さらに専門的な学びを求めて、県立農業大学校に約1年通った。「独学でやって、わかったこともそうでないこともあった。農大で勉強したことで、点と点が線になった気がします」。そのときにお世話になった講師が、村の地域おこし協力隊への応募をすすめてくれたという。

信頼関係を大切に

小屋迫さんは、独立後の主要栽培品目に、アスパラを考えている。地域おこし協力隊の業務をこなしながら、村内の農家で研修する日々。一番好きな作業は、やはり収穫。これから出荷されるのかと思えば、感慨もひとしおだ。

アスパラは収穫後にそのまま生長させて葉を茂らせ、光合成を促し栄養を根に蓄えさせるのだが、ここで小屋迫さんは農家の職人技に舌を巻いたと話す。「どの塩梅で茂らせるのか、逆に剪定するのか、自分には全然わからない。これを習得するには、すごく時間がかかりそう」。いまは少しずつ学びながら、自分の中に落とし込むことの繰り返しだ。年に一度の作業も多いからなおのこと、目で見て、身体と頭をフルに動かす。毎日、膨大な情報が頭の中を駆け巡っていることだろう。

独立すれば、ひとりで責任を持って農業と向き合うことになる。けれどそれは、決して「孤立する」ということではない。「人の手を借りることも、誰かを支えられる人であることも大事。地域の人に信頼される、認めてもらえる農業者を目指したい。まだまだ先の話だけど、いつかは自分が誰かに伝えられるような立場になりたいとも思います」。

収穫までに3年かかるというアスパラ。小屋迫さんは2023年、初めて植え付けに挑戦する。

【写真CAP】
1.協力隊業務の一環で、ニンニクの植え付け作業を学ぶ。

2.協力隊メンバーが中心になって企画した、農業体験イベントにて。「イベントなんてやったことなかったけれど、楽しいです」。

3. 研修先のアスパラ農家にて。頻繁に通えない分、一回の学びの密度は高い。

インタビューしてみての感想

地域おこし協力隊ヒトコト録(2023年2月発行)より転載。

このインタビューをシェア!