vol.26

2023.03.14

赤星 静香さん【地域おこし協力隊】

介護の仕事を天職とする赤星さん。その明るい人柄で、夫の地元である熊本県での日々を楽しんでいる。人間と人間で向き合う。いつでも"学び"の姿勢を忘れずに。

介護という仕事

天職を、英語で「calling 」というらしい。不思議な何かに呼ばれるようにして、縁がつながり、深まって、なくてはならない大切なものになる、そんなイメージが想起される。いつかどこかで聞いた言葉を、赤星静香さんと話しながら思い出していた。

赤星さんは根っからの「おじいちゃん、おばあちゃん子」。西陣織の職人だった祖父母の機織りの音を聞き、近所のお年寄りに可愛がられて育った。「大きくなったら、みんなを助けてあげられる人になる」。高校卒業後は病院の看護補助者となり、実務を学びながら介護福祉士の資格を取得。10年以上、第一線で介護に携わってきた。

「人生も仕事も、学べることがたくさんあります。利用者さんからも、職場の先輩からも、一生勉強させていただく気持ちで」。ときにはものすごくプライベートな部分に踏み込む仕事。それだけに、ストレートに人間力が問われる。赤星さんいわく、「互いに一線を引くことなく、人対人で関われる」。その関係性のなかで、相手の心からの笑顔が見られたときには…。「ものすごくうれしい」。

キャパシティを広げる

現場ひと筋に邁進してきた赤星さんはいま、地域おこし協力隊としてシルバー人材センターの事務を仕事にしている。それは、自分のキャパシティを広げるための挑戦でもある。「生活に密着した介護を学ぶために、まず地域を知ることが必要だと思って協力隊になりました。年を重ねても介護の仕事に関わりたいから、ケアマネージャーの資格を取得したい。そのために事務スキルも身につけたい」。

初めての仕事に戸惑うことも多いが、持ち前の笑顔と真面目さで、着任間もないというのにすっかり職場に馴染んでいる様子。「シルバー人材センターの会員の皆さんに、生きがいを感じてもらえるような仕事がしたい」と意気込みも十分だ。

村で暮らし始めてから、いろいろな気づきがあった。「行政の人の対応が明るい! 移住前に想像していたよりずーっと、民間福祉の内容がすばらしい! 自分を偽らずに生きている方がたくさんいる! 自分自身のことだと、『顔が変わったね』って言われます。移住してからのほうが、表情がやわらかいらしいです(笑)」。

「人はひとりでは生きていけません。誰かに助けてもらったり、誰かを支えたり」。ときに傷ついたり、気持ちが萎んでしまったりすることがあっても、立ち返る場所は「人としての優しさでありたい」。そう願う赤星さんのしなやかな強さに胸を打たれた。


【写真CAP】
1.シルバー人材サービスを利用したい人からの問合せ対応や、会員のスケジュール調整などの事務を担う。「サービスを利用した方からの感謝の声は、会員さんに伝えるようにしています。体調どうですか? とか、ちょっとした世間話もコミュニケーションが広がるきっかけになります」と赤星さん。

2・3.副業として、福祉センターのデイケアスタッフも務める。コロコロと弾むような笑顔の赤星さんに、お年寄りの皆さんも心を開いている様子が見て取れる。

インタビューしてみての感想

地域おこし協力隊ヒトコト録(2023年2月発行)より転載。

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